元皇女なのはヒミツです!

8 やっと、あなたと

 学園生活の初日はまずは各教室に集まって自己紹介や説明会、そして午後に入学式だ。

 自己紹介では案の定、私の番では悪意のある視線しか感じなかった。ま、図々しくも平民が貴族の世界に入り込むのはいい気分はしないかもしれないわね。
 そしてオリヴィアの番では意地の悪い令嬢たちからくすくすと笑い声が聞こえて、セルゲイの番では令嬢たちの目の色が変わった。彼はアレクサンドル連邦国でも令嬢たちから人気だったから、ここでもきっと彼に夢中になる女性は多いかもね。

 オリヴィアをいじめていた令嬢の一人でリーダー格の伯爵令嬢はグレース・パッション。少しきつめの顔だけど目鼻立ちのはっきりした美人で、金色の縦ロールをゆさゆさと揺らしていた。
 そして彼女の腰巾着の一人がジェシカ・ハーパー子爵令嬢。こちらは赤毛で背が高くて痩せっぽっちだ。
 反対に、茶色い髪の背が低くてぽっちゃりした令嬢がもう一人の腰巾着のデイジー・ベル子爵令嬢。気の強いこの三人がこれからクラスを牛耳ることになりそうだ。

 特待生の私のことは既に学園中の噂になっていて、休憩時間にセルゲイとオリヴィアと食堂に行った際も多くの生徒たちからじろじろと物珍しそうに見られたわ。それはもう珍獣のように。
 ここでも教室と同じように好意的な目は全く向けられなかったわ。先が思いやられるけど、彼らに負けないように頑張らなきゃ。
< 33 / 371 >

この作品をシェア

pagetop