元皇女なのはヒミツです!
「それにしても……まさかグレースが皇女殿下のことを慕っているとはな!」
しばらくして寂しげな空気を打ち壊すように、セルゲイは今度は打って変わって私をからかうようにおちゃらけて言った。
「もうっ! からかわないでよ! と言うか、私もびっくりしたわ。なんであんなに私に肩入れしてくれるのかしら?」
「それは皇女様の評判が良かったからだろう」
「あぁ、慈悲深くてお優しい皇女様、ってやつね……」と、私は自嘲した。
皇女時代、私は慈善活動に力を入れいていた。
それは幼い頃に皇族の教育の一貫で孤児院や貧困街の視察に行ったことがきっかけだった。
骨と皮だけの髑髏のような肉体に、もう衣服とは言えないボロボロの薄汚れた布切れを纏っている人々。虫だらけの異臭漂う壊れかけのあばら家。その凄惨な光景に衝撃を受けた私は彼らを救おうと一生懸命励んだ。
でも、今思えば暇を持て余した皇女の遊びだったのかもしれない。私は彼らのことを思っていたのではなくて、忙しく慈善活動をしている自分が好きなだけだったのかもしれない。