元皇女なのはヒミツです!



「国外追放……ですか?」

 突然の話に私は驚きのあまり口からじゃがいもを落としそうになって、慌てて吸い込んだ。令嬢としてはしたない行為だけど、もう平民だから気楽なものだ。

「いや、追放なんて物騒な話じゃないんだ」

 アレクセイさんは困った表情で顔を掻いた。彼は革命軍の幹部で、帝国から連邦の新政府に移行してからは国の副大統領として活躍している。地下牢から死にかけの私を救い出してくれた命の恩人だ。

「だって国から出ろってことでしょう?」

「そうだけど、しばらく国外で身を隠してくれってことさ。革命の傷が癒えたら連邦国の市民としてまた戻って来て欲しい。お願いできないかな?」

 アレクセイさんの話によると、私の存在がどこからか漏れてしまったらしい。私のことは新政府でもごく一部の要人にしか知られていなかったので、今は裏切り者探しで大変だそうだ。

 大陸の半分の領土を持つ帝国の元皇女が生きているとなると、皇族や貴族までを皆殺しにしようとしていた過激派や、皇女を女帝に立てて帝国を復活させようとする貴族たちに利用されかねない。そこで、ほとぼりが冷めるまで国外で過ごして欲しい……ということだった。
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