元皇女なのはヒミツです!

 にわかに、隣から大きな爆発音がした。ハッとして音のほうに目を向けると、侯爵令嬢の魔法が炸裂したところだった。わぁっと大きな歓声が上がる。たくさんの魔獣がぷすぷすと黒焦げになって倒れていた。あれは炎系の魔法かしら? 物凄い威力だわ。

 俄然、やる気が湧いてきた。私も負けてられない。侯爵令嬢みたいに広範囲の魔法を使うのもアリね。


 私が目の前の魔獣を仕留めようとしたその時だった。

「えっ!?」

 近くにいた他の生徒のほうに向かっていた魔獣数匹が突然ぐるりと向きを変えて、私に向かって突撃して来た。

「氷よっ!」

 私は慌てて地面から連続で氷柱を出してそれらを串刺しにする。
 ホッとしたのも束の間、今度は反対方向にいる魔獣も引き寄せられるようにこっちに向かって走って来ていた。魔獣たちの目は怒り狂い、明らかに私に憎悪を向けているような雰囲気だ。
 どういうこと? なぜ、私に?
 深く考えている余裕はなかった。目の前の魔獣をとにかく倒さなければ……!

 私はさっきより素早く魔法を展開して対処した。瞬時に氷をのナイフを出して敵を仕留める。
 だが、魔獣の勢いは止まらない。それになんだか魔獣たちの魔力がだんだん強くなっている気がする。
 思った以上に魔力が削られて、どんどん息が上がって来た。それに比例して集中力も途切れる。
 魔獣は容赦なく突進する。額から汗が滴り落ちる。魔力がもぎ取られる。

 そしてついに――……、

 仕留めそこねた一匹の魔獣が猛然と私に襲いかかって来た。
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