殺意のピアス
楽しそうに出かけて行く裕太の車を見送った。



ピアスを見つけた時、裕太はどうするのだろう?
これは一種の賭け。


拾ったピアスを迷うことなく私に返して欲しい。
誰のピアスかなんて悩まないで欲しい。

今日のキャンプが本当に一人なら悩むことなんてないでしょう?




私に「落ちてたよ」と返してくる?

ナナさんへ渡す?

それとも気付かない振りをして捨てる?


こんな風に裕太を試す自分自身の心が醜いと分かってる。

分かってるよ!
こんなことしてもどうにもならないって。
いいことなんて何もないって。
けど、、、。



心の中で蠢く嫉妬が力を増してくる。

自分の中にあるドロドロとしたものが消えない。

消えないどころか、どんどん膨らんで、止めることすらできない悪意と殺意。





私は玄関の鍵をかけて、腕で顔を擦った。


溢れてくる涙がこぼれる前に、瞼をごしっと擦る。


何度も何度も掌で顔を拭った。




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