緋色の徴(しるし) リリカとサリエル(魔法の恋の行方シリーズ11)
「いえ、大丈夫です!!」

リリカは壁に体をぴったりつけて、首を横に振った。

時代遅れ・・絶滅危惧種・・自然消滅・・
サリエルの発言が、頭の中で反芻(はんすう)する。

ビシッ

何かのスパーク音が響いた。
体がよろけるほどの大きな振動。

真っ暗になり、ガタンと音を立ててエレベーターが止まった。

「え・・何??!!」

リリカが胸にバックを抱いて、
うろたえる声をだした。
すぐに照明がついたが、うす暗い。

「緊急停止で、非常用ライトが
ついたんだ」

サリエルが上を指さして、説明した。

ブブブブブ・・

リリカのバックの中に入っていたスマホが、マナーモード着信で
振動した。

「ああ、アレクサンドラ?
うん、エレベーターが止まって。えっ・・故障?」

「故障して動かない?」

サリエルが聞いたので、
リリカはスマホを耳にあてたまま、コクコクうなずいた。

「ええ・・復旧するまで、30分かかるって?でもさ・・」

「あ・・どうしよう。切れちゃった」

リリカは、スマホの画面のアンテナを確認したが、一本も立っていない。
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