報われたい独占欲は、狂気のソレ



 『浮気はしていない』そう口にすると、長谷川奏人は「ハア」と大きく息を吐いた。なんとなく苛立っているようにも見える。


 加藤さんは長谷川奏人のことを『怒ることもない人』と言っていた。


「あのね~、男は皆『浮気してない』って言うんだって。だからオレも一緒に行こうかって聞いたのに」


 ――けれど、私は怒らないで有名な長谷川奏人を今、怒らせてしまっている。


 歯向かったら移動の話はなかったことにされるのだろうか。それはイヤだ。だけどプライベートのことは首を突っ込んでほしくない。


「あの、長谷川さん。そんなに社員に固執していたらいつか嫌われますよ?」

「……固執?」

「社員のことを思ってくれることは嬉しいですが、正直プライベートにまで口を出してほしくありません。何かあっても仕事には影響出ないように努めますし、頑張ります」


 言い終えた段階でちょうど注文していた日替わり定食が運ばれてきた。長谷川奏人が食べ始めたタイミングで私も箸を取り、ご飯に口をつける。

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