報われたい独占欲は、狂気のソレ


「オレは会社の社員には誰一人として固執してないよ。……まあ、川口さんを除いては、ね」

「な、なんで私なんですか?」


 そう尋ねると、長谷川奏人は箸を置き私にまた目を向けた。


「……川口さんが……いや、凪が好きだからだよ」


 『凪』
 名前を呼ばれ、心臓を鷲掴みにされたように胸が締め付けられた。

 やっぱりこの人は危ない、危険な人だ。

 ――流されるな、流されちゃダメ。


「な……なに言ってるんですか? 加藤さんから聞きましたよ。長谷川さんは昔から想ってる人がいるから好きにならない方がいいって」

「うん。だからそれが凪だよ」


 ……な、何を言ってるのこの人は。全然頭が整理できない。私がこの人に好かれる要素がない。


「冗談言うのやめてもらえます?」

 箸を置き歯向かってみると、長谷川奏人はまた私に向かって『ハハッ』と笑みを溢した。


「冗談ならカレシと何処で何時に待ち合わせしてるかなんて知らないし、この間もさ……オレが別れるように言ったのにベランダで抱かれてるし……」


< 22 / 64 >

この作品をシェア

pagetop