報われたい独占欲は、狂気のソレ
人がいない会議室に入るなり、長谷川さんは「ここ、座って」と私を自身の横に座らせるように指示をした。やはり仕事のときはプライベートの面影がない。二重人格かと思うほどに真面目で丁寧だ。私の意見もきちんと聞いてくれる。
そういうところが皆がついていきたいと思うところなのかもしれない。
流行りの流行を抑えつつ、ブランドの絵柄を胸元に描いたデザイン。それらを囲うように、提案されていたコラボ先のロゴを入れ、尚且つ、素材と予算をこういう生地で作って価格はこれくらいにしたいと説明した。
長谷川さんは「なるほどね」と頷いてくれていたが、私の資料は甘いところがあるようで、そこを丁寧に指摘してくれた。
「これだと女性も男性も好んで手に取ってもらいやすい気がする。もっといえば、女性用と男性用で少しデザインを変えたほうが、ペアで買ってくれるお客様も増えると思う。ペアじゃないにしても、ついで買いもしてくれそうだし。でも、どう頑張ってもこの価格じゃ赤字なんだよね。そりゃあ肌が弱いお客様にも気兼ねなく着ていただける服を作りたいって気持ちも分かるんだけどさ」
「接客していて思ってたんですけど、敏感肌のお客様って結構いらっしゃって……生地がよくて、どうしても可愛くていいものを安くで作ってあげたいんです」