報われたい独占欲は、狂気のソレ


「ありがとうございます。すみません、覚えてなくて……」

「人が多かったし覚えてなくてあたりまえだよ。その場で少し話したときに凪は自分の名前教えてくれてさ、就職先がここの会社っていうことも教えてくれたんだよ。そのときに思ったんだよね、ああこれって運命だって」


 懐かしそうに微笑む長谷川さん。まるでそう信じて疑わないような目をしていた。


「……じゃあ、私がここで働けるように仕向けたのは長谷川さんですか?」

「まさか。オレも知らないうちに決まってたよ。知ってたらあんなふうに凪に近づかないだろ」

「……それは、そうですね。スミマセン」


 あれ、なんで長谷川さんの恋愛話になっているんだろう。いつの間にか話題がすり替わってしまっている。でももういい。この人が私をまだ諦めていないと知ってしまった今、もうこの人に相談することはない。


 このままうやむやにして話を終わらせようと思っていると、

「凪はさ、今のカレシのどこがそんなにいいの?」

 話の軸が悟の話題に戻ってしまった。

< 33 / 64 >

この作品をシェア

pagetop