その甘さに、くらくら。
「何か言えよ五月女」
「ゲロの味がする」
「は?」
「女の血も、男の血も、ゲロの味がする。年齢性別関係なく誰の血でも平気で美味しく飲めていたのに、ある時からそれらがゲロになった。口から吐き出された本物のゲロを飲んでるみたいだ。ゲロを飲めばゲロが出る。ゲロを吐けばゲロの味がする。吐いても吐いても、ゲロの味がする。甘いのを、せめてゲロ以外の味を求めて別の血を飲んでも同じ。ゲロの味がする。全部ゲロだ」
弓木が持っていたこの血もそうだ。ゲロの味がする。人間の血液がゲロになった。ゲロばかり。人間の体にはゲロが流れてる。
突然、ぺらぺらと饒舌に話し始める五月女に、俺は目を瞬かせた。一際整った顔面で、表情を少しも崩すことなく唇を動かし、その口から何度も繰り返し放たれるゲロの二文字。印象的なその単語を繰り返す姿は、何かのギャグかと思ってしまった。
同じ不味いでも、五月女にはゲロの味がするようだ。俺はゴムの味。ゲロかゴムかだったら、ゴムの方がまだましかもしれない。
誰の血液を飲んでもゲロの味がするという五月女の苦労は、俺とは比べ物にならないだろう。それでも、我慢して飲まなければ自分が死ぬから、飲むしかない。
飢えに耐えられずに首を噛み、その後、発情してしまった相手を放置してしまうのは、口に広がるゲロに、喉を通るゲロに、自身の精神を保つのにいっぱいいっぱいとなり、相手に気を遣う余裕がないからかもしれない。ゲロの味がするから吐き出して、変わらないゲロの味に舌を打って、ゲロを吐きたい衝動に駆られ、飲んだばかりのゲロを自身のゲロと共に吐く。ゲロ塗れ。
「ゲロの味がする」
「は?」
「女の血も、男の血も、ゲロの味がする。年齢性別関係なく誰の血でも平気で美味しく飲めていたのに、ある時からそれらがゲロになった。口から吐き出された本物のゲロを飲んでるみたいだ。ゲロを飲めばゲロが出る。ゲロを吐けばゲロの味がする。吐いても吐いても、ゲロの味がする。甘いのを、せめてゲロ以外の味を求めて別の血を飲んでも同じ。ゲロの味がする。全部ゲロだ」
弓木が持っていたこの血もそうだ。ゲロの味がする。人間の血液がゲロになった。ゲロばかり。人間の体にはゲロが流れてる。
突然、ぺらぺらと饒舌に話し始める五月女に、俺は目を瞬かせた。一際整った顔面で、表情を少しも崩すことなく唇を動かし、その口から何度も繰り返し放たれるゲロの二文字。印象的なその単語を繰り返す姿は、何かのギャグかと思ってしまった。
同じ不味いでも、五月女にはゲロの味がするようだ。俺はゴムの味。ゲロかゴムかだったら、ゴムの方がまだましかもしれない。
誰の血液を飲んでもゲロの味がするという五月女の苦労は、俺とは比べ物にならないだろう。それでも、我慢して飲まなければ自分が死ぬから、飲むしかない。
飢えに耐えられずに首を噛み、その後、発情してしまった相手を放置してしまうのは、口に広がるゲロに、喉を通るゲロに、自身の精神を保つのにいっぱいいっぱいとなり、相手に気を遣う余裕がないからかもしれない。ゲロの味がするから吐き出して、変わらないゲロの味に舌を打って、ゲロを吐きたい衝動に駆られ、飲んだばかりのゲロを自身のゲロと共に吐く。ゲロ塗れ。