『執愛婚』~クリーミー系ワンコな部下がアブナイ男に豹変しました
*
「ごめんねっ、遅くなって。部長に呼び止められちゃってっ…」
「お疲れ様です」
待ち合わせの和食処【風鈴】にやってっ来た彼女は走って来たのか、少し息を切らしている。
ロングコートを脱ぎ、それを丁寧に折り畳んで、乱れた髪を手櫛で直し、静かに腰を下ろした。
彼女が予約してくれていたこともあり、個室に通された俺は、彼女より十五分ほど早くに到着していた。
「何か注文した?」
「いえ、まだです」
「頼むもの決まってる?」
「同じもので大丈夫です」
「……お酒飲む?」
「いえ」
お酒の力を借りたいところだが、話した内容を帳消しされても困る。
だから、ここはあえてノンアルコールで勝負しないと。
お薦めセットを注文した彼女は、おしぼりで手を拭き、ほうじ茶を口にする。
その仕草一つ一つに色気があって、ついつい目で追ってしまう。
「今日はごめんね、急に呼び出して」
「いえ、俺の方こそ、先輩と話がしたかったので」
「……そっか」
俺の視線から逃れるように視線を逸らした彼女は、前髪をそっと横に流した。
「八神くんの目に私がどう映ってるのか分からないけれど、私、仕事だけの女だよ?イイ女でもないし、それこそ、年齢的にも面倒すぎる難物件だと思うけど」
「自虐ネタですか?」
「え?」
「他人にどう思われようが、関係ないじゃないですか」
「……」
「例え人に言えないような秘密があったり、周りから嫌味言われるような性格だったとしても、それが何なんですか。そんな小っちぇことをグダグダ言うやつは、勝手に言わせときゃいいんですよ」
「っ……」
「たぶん、先輩が既婚者でも、バツイチでも、俺好きになってたと思います」
「っ……」
「好きになるのに理由なんてないし、そもそも俺、そんな器用じゃないんで」
視線が泳ぎっぱなしの彼女をじっと見据える。
俺の言葉に動揺するその顔が、堪らなく可愛く思える。
「ごめんねっ、遅くなって。部長に呼び止められちゃってっ…」
「お疲れ様です」
待ち合わせの和食処【風鈴】にやってっ来た彼女は走って来たのか、少し息を切らしている。
ロングコートを脱ぎ、それを丁寧に折り畳んで、乱れた髪を手櫛で直し、静かに腰を下ろした。
彼女が予約してくれていたこともあり、個室に通された俺は、彼女より十五分ほど早くに到着していた。
「何か注文した?」
「いえ、まだです」
「頼むもの決まってる?」
「同じもので大丈夫です」
「……お酒飲む?」
「いえ」
お酒の力を借りたいところだが、話した内容を帳消しされても困る。
だから、ここはあえてノンアルコールで勝負しないと。
お薦めセットを注文した彼女は、おしぼりで手を拭き、ほうじ茶を口にする。
その仕草一つ一つに色気があって、ついつい目で追ってしまう。
「今日はごめんね、急に呼び出して」
「いえ、俺の方こそ、先輩と話がしたかったので」
「……そっか」
俺の視線から逃れるように視線を逸らした彼女は、前髪をそっと横に流した。
「八神くんの目に私がどう映ってるのか分からないけれど、私、仕事だけの女だよ?イイ女でもないし、それこそ、年齢的にも面倒すぎる難物件だと思うけど」
「自虐ネタですか?」
「え?」
「他人にどう思われようが、関係ないじゃないですか」
「……」
「例え人に言えないような秘密があったり、周りから嫌味言われるような性格だったとしても、それが何なんですか。そんな小っちぇことをグダグダ言うやつは、勝手に言わせときゃいいんですよ」
「っ……」
「たぶん、先輩が既婚者でも、バツイチでも、俺好きになってたと思います」
「っ……」
「好きになるのに理由なんてないし、そもそも俺、そんな器用じゃないんで」
視線が泳ぎっぱなしの彼女をじっと見据える。
俺の言葉に動揺するその顔が、堪らなく可愛く思える。