『執愛婚』~クリーミー系ワンコな部下がアブナイ男に豹変しました

「八神くんっ」
「……はい?」
「ちょっと、お茶に付き合ってくれない?」
「………はい、いいですけど」

“ついて来て”という感じに席を立った彼女は、財布を手にしてエレベーターホールへと。
会社のすぐ近くにあるカフェに連れて行かれ、珈琲をご馳走になる。

「最近、璃子とはどう?……順調?」
「……どうでしょう。二か月前に比べたら、いい感じだと思いますけど、俺だけがそう思ってるのかもしれないです」

やっぱり、俺と付き合ってることを松雪さんには話してあるらしい。
璃子さんから親友だとは聞いている。
市川さんの奥さんも親友らしいけど、市川さんにはまだ話してないと言ってたから、奥さんにも話してないように思う。

「璃子、最近少し変わったよね」
「……そうですか?」
「ん、変わった。八神くんのお陰だと思ってるんだけど?」
「……だといいですけど」

松雪さんにガン見され、視線の置き場に困る。
女版圭吾みたいで、心の最奥を読み解かれてる気がする。

「八神くんって、結婚願望ある?」
「え、……いきなりなんですか?」
「まだ若いからなくても当然だけど、五歳も年上と付き合うなら、多少の覚悟はあるのかな?と思って」

ド直球な質問に、正直に答えるべきか悩む。

「璃子が仕事辞めて、実家に帰るって言ったらどうする?」
「へ?」
「仕事人間の子だけどさ、完璧なわけじゃないでしょ。当然弱い部分だってあるし、心が折れることだってあるよ」
「……はい」
「今のキラキラしてる璃子じゃなくても、八神くんは愛していく覚悟ある?」

今の璃子さんじゃなくても……。

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