『執愛婚』~クリーミー系ワンコな部下がアブナイ男に豹変しました
「悠真っ」
「………杏奈」
「もう帰るの?」
「……ちょっと外の空気吸いに」
会いたくない奴に絡まれた。
森野 杏奈(元カノ)。
「帰る時声掛けてよ、一緒に消えよ?」
「は?……何で?」
「えぇ~、久しぶりに会ったんだから、お茶くらい誘ってくれてもいいんじゃない?」
「意味わかんね、っつーか、何で俺がお前を誘わないとなんねぇんだよ」
「可愛いし、かわいいし、カワイイし?」
「………」
こいつ、全然変わってねー。
超絶ナルシストっつーか、自分好きスキ人間。
そんでもって、世界中の人間がみんな自分に惚れてると思ってる勘違い女。
痛いを軽く通り越して、憐れとしか思えない。
「俺、今彼女いるから」
「それが?悠真カッコいいから、いない方が不自然でしょ」
「だから、彼女以外興味ねぇ」
「それで?」
「お前と二人きりになりたくねー」
「相変わらず、正直だね」
「嘘吐く意味がない」
「別に彼女いようが、杏奈は全然平気だよ~」
あー、始まった。
自分で“杏奈”とか、それだけで、もう無理。
「俺、戻るわ」
「じゃあ、杏奈も戻る~」
「いい加減にしろ」
「別に同じとこに行くんだからいいじゃない」
「お前の隣り、歩きたくねー」
「杏奈は悠真の隣りにいたーい♪」
「呼び捨てにすんな、マジでうぜぇ」
「えーいいじゃん」
「あっちいけ」
「やだよ~」
「近寄んな」
「待ってよ~っ」
「しつけぇ」
こいつが来るなら来なきゃよかった。