若き公爵の子を授かった夫人は、愛する夫のために逃げ出した。 一方公爵様は、妻死亡説が流れようとも諦めません!
 チェストリーも含めた四人で食事をとったり、カレンたちの部屋にチェストリーを呼ぶこともあった。
 そのときは、チェストリーに対して「お父さん」と言っていたが。
 ジョンズワートとチェストリー両方の膝に乗ってみたり、男二人を交互に馬にしたり。
 もう、ショーンの中で、チェストリーもジョンズワートも父親のようなもの。
 甘えられる相手。遊んでくれる人。……自分を、大事にしてくれる人。
 そんな雰囲気だった。
 ダブルお父さん。馬二体。男二人の腕を使ってぶら下がる。片方が疲れてしまったら、もう片方へ。
 ショーンは不憫な境遇ではあるのだが――大人の男二人を好きに使う様子は、なかなかに贅沢であった。それも、片方は公爵様である。


 カレンは、父と息子の時間を奪ってしまったこと、ショーンが本来あるべき場所を奪ってしまったことを、強く後悔していた。
 それは、今も消えてはいないのだが……。
 広い宿の中、ショーンがジョンズワートに駆け寄り、その足に突撃。
 息子が直撃したジョンズワートからは「ぐっ」と小さな呻きが出たが……ショーンはおかまいなし。
 両手をあげて、抱っこをねだった。
 身長の高いジョンズワートに抱き上げられ、息子は笑い声をあげている。
 たかいたかいをされれば、きゃー、と大変な盛り上がりをみせている。
 ジョンズワードに懐き、たくさん笑ってたくさん遊ぶ息子を見ると、少しだけ、安心できた。
 少なくとも、今のショーンは、不幸ではないのだろうと。そう思えたから。
 だって、こんなにも喜んでいる。
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