若き公爵の子を授かった夫人は、愛する夫のために逃げ出した。 一方公爵様は、妻死亡説が流れようとも諦めません!
 夜は、カレン、ジョンズワート、ショーンの三人で過ごした。
 ラントシャフトからホーネージュに向かう旅の間も、この部屋割りになることがあったから。
 ショーンは、特に嫌がる様子もなく、ジョンズワートと共に過ごしていた。
 今回は家族三人で過ごしたいと話してあったため、入浴時も使用人の補佐はない。
 デュライト邸にいるあいだに、ショーンとの入浴の練習を重ねていたジョンズワート。
 湯船もある高級宿にて、ショーンと二人で風呂に入ろうと思ったのだが。

「おかあしゃ、おかあしゃもいっしょに」
「え!?」

 ショーンが、三人で風呂に入りたいと言い出してしまった。
 宿に入ったさい、大きな湯船を見せてしまったからだろうか。
 ホーネージュには入浴の文化があるが、デュライト家にある浴槽も、ここまで大きくはない。
 基本的に、複数人が一緒に入ることは想定されていないのだ。
 だが、この宿には。大人二人と子供一人ぐらいなら、ゆったりと入れるであろう大きさの湯船がある。
 ショーンもなんとなくそれを理解して、一緒に入ろうと言っているのだろう。
 しかし、ジョンズワートとカレンは困ってしまって。

 二人は、結婚してから4年経っている。新婚とはいえない。
 けれどずっとすれ違っていたし、離ればなれにもなっていたから。実質新婚のようなもので。
 三人でお風呂は、ちょっと、まだ早かった。

「ショーン。二人で、二人で入ろう! ショーンと二人がいいな!」
「母さんも、今日は一人で入りたい気分!」

 いつかは、三人でゆっくり湯船につかるのもいいかもしれない。
 けど、今は。実質新婚で、遅れてきた仲良し期真っただ中の、今は。
 三人一緒はまだ早い! と両者考えて、それはもう必死だった。
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