若き公爵の子を授かった夫人は、愛する夫のために逃げ出した。 一方公爵様は、妻死亡説が流れようとも諦めません!
「ですが……なにもこんなやり方で」
「こんなやり方だからいいんじゃありませんか。公爵夫人ですから、ただ姿を消しただけでは長く捜索が続きますし、いつかは見つかってしまうかもしれません。でも、このやり方なら」
「お嬢……」
「すぐに捜索は打ち切られ、みな、私のことは諦めるはずです」
涙を流しているのに、唇は弧を描いていて。
そんな主人を見ながら、チェストリーはぐっと拳を握った。
なんとかして、主人を止めたい。でも、どうすれば。彼女の意思は固いし、それほどまでに追い詰められているのも、事実だろう。
彼女の話が本当なら、カレンは、自分からジョンズワートを夜の営みに誘ったのだ。
それでも、抱かれることはなかった。
もしもジョンズワートがこの場にいたら、主人が受けた屈辱への怒りと悲しみで、彼を殴っていたかもしれない。
「……あなたは、ここで降りてもいいんですよ。ジョンズワート様を納得させるために護衛が必要だったから、ここまで連れてきてしまいましたが……。できれば、巻き込みたくないとは思っていましたから。でも、私の計画のこと、秘密にしていてくださいね」
そう言って、カレンが無理に作った笑顔を自分に向けてくるものだから。
チェストリーは深く息を吐いてから、勢いよくこう言った。
「――ああもう! どうせ止めたって無駄なんだろ!? あんたを一人で行かせるぐらいなら、一緒に行く。あんたに救われた人生だ、とことん付き合ってやるよ!」
従者に対して、カレンは、やっぱり泣きそうになりながら、笑って。
「……ありがとう」
「こんなやり方だからいいんじゃありませんか。公爵夫人ですから、ただ姿を消しただけでは長く捜索が続きますし、いつかは見つかってしまうかもしれません。でも、このやり方なら」
「お嬢……」
「すぐに捜索は打ち切られ、みな、私のことは諦めるはずです」
涙を流しているのに、唇は弧を描いていて。
そんな主人を見ながら、チェストリーはぐっと拳を握った。
なんとかして、主人を止めたい。でも、どうすれば。彼女の意思は固いし、それほどまでに追い詰められているのも、事実だろう。
彼女の話が本当なら、カレンは、自分からジョンズワートを夜の営みに誘ったのだ。
それでも、抱かれることはなかった。
もしもジョンズワートがこの場にいたら、主人が受けた屈辱への怒りと悲しみで、彼を殴っていたかもしれない。
「……あなたは、ここで降りてもいいんですよ。ジョンズワート様を納得させるために護衛が必要だったから、ここまで連れてきてしまいましたが……。できれば、巻き込みたくないとは思っていましたから。でも、私の計画のこと、秘密にしていてくださいね」
そう言って、カレンが無理に作った笑顔を自分に向けてくるものだから。
チェストリーは深く息を吐いてから、勢いよくこう言った。
「――ああもう! どうせ止めたって無駄なんだろ!? あんたを一人で行かせるぐらいなら、一緒に行く。あんたに救われた人生だ、とことん付き合ってやるよ!」
従者に対して、カレンは、やっぱり泣きそうになりながら、笑って。
「……ありがとう」