若き公爵の子を授かった夫人は、愛する夫のために逃げ出した。 一方公爵様は、妻死亡説が流れようとも諦めません!
 当然、カレンもチェストリーも生きている。
 崖の下で捜索が行われている間、カレンたちは安全な道を通って別の国へ。
 念のため、いくつか国境を越えた国まで移動。行き先のない困った夫婦のふりをして、とある農村に身を寄せた。
 
 住む場所が確保できた頃、妊娠していることが発覚。
 周期の乱れではなく、カレンはジョンズワートの子を宿していたのだ。
 村の人から見れば、カレンたちは妊娠しながらもなんとかこの村に流れついた夫婦。
 みな、カレンたちによくしてくれた。
 おかげで、カレンは無事に出産。
 生まれてきた子は、ジョンズワートそっくりのクリーミーブロンドに、深い青色の瞳をした、男の子だった。
 カレンの色とは違ったが、幸い、チェストリーが金髪であったため、二人の子だと言っても不自然ではなかった。


 ジョンズワートはいなくとも、彼との間にできた子がいれば、カレンは十分に幸せだった。
 初夜の一度きりであっても、カレンはジョンズワートに愛された。
 その一度で子を授かり、出産し、育てていける。
 カレンは逃げたから、子が生まれてもジョンズワートを縛ることはない。
 ジョンズワートとサラに気を遣うことなく、子に愛情を注ぐことができた。
 愛しい愛しい、自分たちの息子。ジョンズワートによく似ているものだから、本当にもう、可愛くてたまらない。
 村の人が協力してくれるおかげで、思ったほどは苦労せず済んだ。
 チェストリーには、夫と父親の役をやらせることになってしまい、申し訳なく感じている。
 けれど、カレンは確かに幸福だったのだ。デュライト公爵家にいたときより、ずっと。
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