新そよ風に乗って ⑥ 〜憧憬〜
きっと、高橋さんのことを言ってるんだ。
「違うの。それは、違うから。高橋さんは関係ないから」
ハッ!
中原さんが居るのに、言ってしまった。
どうしよう……変に思われるかな。
「中原さん」
まゆみがドアの方を振り返り、中原さんを呼んだ。
「えっ?」
まゆみに急に呼ばれて、中原さんは驚いたような声を出した。
「お宅の上司さん。今、何処に居る? 宴会場では見掛けなかったけど」
ベッドに寝ている私の横に座っていたまゆみが、立ち上がって中原さんを見た。
「多分、まだ会社じゃないかな。仕事を片付けてから来るんだと思う」
「車で来るんでしょう?」
「恐らく。そう言ってたけど」
まゆみが中原さんの方へ、2、3歩近づいた。
「中原さん。宴会場に高橋さんが行っちゃう前に、捕まえてきてくれます?」
「はあ?」
中原さんが、驚いた声をあげた。
「まゆみ。何、言ってるの?」
「宴会場に入られちゃうと、面倒な女どもに捕まって収拾つかなくなるから。それに、酒飲まれても困るしね」
まゆみは、私を無視して中原さんと話していた。
「まゆみ!」
起きあがって、大きな声でまゆみを呼んだ。
「陽子は、ちょっと黙ってて」
うっ。
急に起きあがったからか体がグラグラしているし、キッとまゆみに睨まれて何も言い返せなくなってしまった。
「分かった。何とか、捕まえてみるよ」
エッ……。
まゆみが足早に中原さんの方に近づいて行き、目の前に立った。
「中原さんも鈍感じゃなさそうだから、薄々気づいているでしょう? 陽子と高橋さんの関係」
まゆみ……何で、そんなことを。
すると、中原さんは黙って頷いた。
嘘。
中原さんは、気づいていたんだ。
「だったら、何とかじゃ困るの」
まゆみは、今にも中原さんに食って掛かりそうな勢いで迫っている。
「ああ。必ず連れてくるよ」
中原さんは踵を返し、ドアを開け出て行こうとした。
「中原さん!」
まゆみがもう1度呼び止めると、中原さんが無言で振り返った。
「失敗は、許されないから」
「分かってる」
即答した中原さんは、ドアを閉めて出て行った。
中原さん……。
「ちょっと、まゆみ。高橋さんを呼んでどうするの? 何をしようとしてるの?」
ドア付近から、まゆみがまたベッドの傍に戻ってきた。
「大丈夫。陽子は、何も心配しなくていいから。ゆっくり寝てな」
「でも……」
「違うの。それは、違うから。高橋さんは関係ないから」
ハッ!
中原さんが居るのに、言ってしまった。
どうしよう……変に思われるかな。
「中原さん」
まゆみがドアの方を振り返り、中原さんを呼んだ。
「えっ?」
まゆみに急に呼ばれて、中原さんは驚いたような声を出した。
「お宅の上司さん。今、何処に居る? 宴会場では見掛けなかったけど」
ベッドに寝ている私の横に座っていたまゆみが、立ち上がって中原さんを見た。
「多分、まだ会社じゃないかな。仕事を片付けてから来るんだと思う」
「車で来るんでしょう?」
「恐らく。そう言ってたけど」
まゆみが中原さんの方へ、2、3歩近づいた。
「中原さん。宴会場に高橋さんが行っちゃう前に、捕まえてきてくれます?」
「はあ?」
中原さんが、驚いた声をあげた。
「まゆみ。何、言ってるの?」
「宴会場に入られちゃうと、面倒な女どもに捕まって収拾つかなくなるから。それに、酒飲まれても困るしね」
まゆみは、私を無視して中原さんと話していた。
「まゆみ!」
起きあがって、大きな声でまゆみを呼んだ。
「陽子は、ちょっと黙ってて」
うっ。
急に起きあがったからか体がグラグラしているし、キッとまゆみに睨まれて何も言い返せなくなってしまった。
「分かった。何とか、捕まえてみるよ」
エッ……。
まゆみが足早に中原さんの方に近づいて行き、目の前に立った。
「中原さんも鈍感じゃなさそうだから、薄々気づいているでしょう? 陽子と高橋さんの関係」
まゆみ……何で、そんなことを。
すると、中原さんは黙って頷いた。
嘘。
中原さんは、気づいていたんだ。
「だったら、何とかじゃ困るの」
まゆみは、今にも中原さんに食って掛かりそうな勢いで迫っている。
「ああ。必ず連れてくるよ」
中原さんは踵を返し、ドアを開け出て行こうとした。
「中原さん!」
まゆみがもう1度呼び止めると、中原さんが無言で振り返った。
「失敗は、許されないから」
「分かってる」
即答した中原さんは、ドアを閉めて出て行った。
中原さん……。
「ちょっと、まゆみ。高橋さんを呼んでどうするの? 何をしようとしてるの?」
ドア付近から、まゆみがまたベッドの傍に戻ってきた。
「大丈夫。陽子は、何も心配しなくていいから。ゆっくり寝てな」
「でも……」