新そよ風に乗って ⑥ 〜憧憬〜
「自分では、分かっているつもりで話していても、伝わっていないことがある。相手に、伝わらない。上手く伝えようとして話し始めても、その最初で躓いてしまう」
「はぁ……」
確かに、自分が思っていることを正確に相手に伝えるのは、簡単そうにみえるけれど難しい。時には、とんでもないような解釈で勘違いされてしまうことだってある。
「考えを纏めて、いざ話し始めたとしても分かって貰える時もあるが、そうでない時もある。人間の感情は、その時々で変わるものだし、相手がその時に置かれた状況にも左右される。冷静に受け止められる時もあれば、興奮していて鵜呑み、若しくは聞き流してしまうことも。何度も説明して理解して貰おうとしても、しつこく思われたりすることもあるから、自分からしつこく思われたくなくてそのチャンスを逸してしまうことだってある」
高橋さんは、いったい何を私に……?
「だが……。本当に自分の言いたいことを理解して貰いたいと思うのならば、何度でも説明して、少しでも理解して貰えるように努力を惜しまないことだ」
高橋さん。
それは、私に対して言っているの?
「あ、あの……それは、私に言って下さっているのですか?」
「いや、お前だけじゃない。俺自身にもだ」
「高橋さん自身にも?」
「本当に相手に何かを伝えたかったら、プライドや恥じらいは捨てて、真っ向から思いを正直に話さないと、相手にはその思いは伝わらない。少しでも自分を守ろうとして話す。言い換えれば、自分をよく見せようとしたその時点で、その伝えたい思いは脚色されてしまう。相手も自分も、感情のある人間だ。脚色された言葉を並べた思いを伝えられれば、また同じ脚色された言葉を並べて返される。お互い、それは無意識にかもしれないが、そこに駆け引きは存在しない」
何故、私に?
「はぁ……」
確かに、自分が思っていることを正確に相手に伝えるのは、簡単そうにみえるけれど難しい。時には、とんでもないような解釈で勘違いされてしまうことだってある。
「考えを纏めて、いざ話し始めたとしても分かって貰える時もあるが、そうでない時もある。人間の感情は、その時々で変わるものだし、相手がその時に置かれた状況にも左右される。冷静に受け止められる時もあれば、興奮していて鵜呑み、若しくは聞き流してしまうことも。何度も説明して理解して貰おうとしても、しつこく思われたりすることもあるから、自分からしつこく思われたくなくてそのチャンスを逸してしまうことだってある」
高橋さんは、いったい何を私に……?
「だが……。本当に自分の言いたいことを理解して貰いたいと思うのならば、何度でも説明して、少しでも理解して貰えるように努力を惜しまないことだ」
高橋さん。
それは、私に対して言っているの?
「あ、あの……それは、私に言って下さっているのですか?」
「いや、お前だけじゃない。俺自身にもだ」
「高橋さん自身にも?」
「本当に相手に何かを伝えたかったら、プライドや恥じらいは捨てて、真っ向から思いを正直に話さないと、相手にはその思いは伝わらない。少しでも自分を守ろうとして話す。言い換えれば、自分をよく見せようとしたその時点で、その伝えたい思いは脚色されてしまう。相手も自分も、感情のある人間だ。脚色された言葉を並べた思いを伝えられれば、また同じ脚色された言葉を並べて返される。お互い、それは無意識にかもしれないが、そこに駆け引きは存在しない」
何故、私に?