新そよ風に乗って ⑥ 〜憧憬〜
高橋さんは、何事もなかったように私と擦れ違ったが、まるで今の心を映し出しているかのように、 『いってらっしゃい』 と、私が言った時、高橋さんは視線を外して前を向いていた。それが、何を意味しているのかは分からない。でも、やっぱりこのままじゃいけないということだけは、何となく分かっていて……。
考えれば、考えるほど分からなくなっていく。
また、体が直ぐにそれに反応して、胸が軋むように悲鳴を上げ、胃がキリキリと痛むような気分になりながら席に戻った。
先ほどの土屋さんの言葉が、頭から離れない。机の上に置かれている書類を、ぼんやりと意味もなく左から右へと移動させていた。
「これ5部ずつ、コピーをお願い」
エッ……。
気づくと、中原さんが横に立っていた。
「矢島さん。大丈夫? 顔色悪いよ」
「そ、そうですか? すみません、大丈夫です。今、コピーをしてきますね」
中原さんから書類を受け取って、コピー機の方へと向かう。
私は、大丈夫だから……。
『お前の大丈夫が、一番大丈夫じゃないんだよな』
高橋さんが、前に言っていた言葉を思い出す。
あの時……確かにあの時の高橋さんは、私のことを見てくれていた。
土屋さんと頻繁に会っているのは、きっと何かあってのこと。でも、土屋さんが言っていた 『高橋さんのお臍のところに黒子があって可愛いのよ』 って……あれは、何?
嗚呼、もう1人で考えるのはやめた。いつも高橋さんに言われているとおり、直接高橋さんに聞いてみよう。そうすれば、すべてが解決するはず。
きっと、何でもないに決まってる。悩んでばかりいて、損しちゃったって……ね。
そう自分に言い聞かせるようにして、勇気を出して高橋さんに直接聞いてみようという結論に達した。
そんな今日は、さほど忙しくなかったので、退社時間になって直ぐに帰れる感じだったが、やはり何となく高橋さんと土屋さんのことが気になって、何だかんだとまだ席に残っていた。
「まだ、帰らないの?」
エッ……。
考えれば、考えるほど分からなくなっていく。
また、体が直ぐにそれに反応して、胸が軋むように悲鳴を上げ、胃がキリキリと痛むような気分になりながら席に戻った。
先ほどの土屋さんの言葉が、頭から離れない。机の上に置かれている書類を、ぼんやりと意味もなく左から右へと移動させていた。
「これ5部ずつ、コピーをお願い」
エッ……。
気づくと、中原さんが横に立っていた。
「矢島さん。大丈夫? 顔色悪いよ」
「そ、そうですか? すみません、大丈夫です。今、コピーをしてきますね」
中原さんから書類を受け取って、コピー機の方へと向かう。
私は、大丈夫だから……。
『お前の大丈夫が、一番大丈夫じゃないんだよな』
高橋さんが、前に言っていた言葉を思い出す。
あの時……確かにあの時の高橋さんは、私のことを見てくれていた。
土屋さんと頻繁に会っているのは、きっと何かあってのこと。でも、土屋さんが言っていた 『高橋さんのお臍のところに黒子があって可愛いのよ』 って……あれは、何?
嗚呼、もう1人で考えるのはやめた。いつも高橋さんに言われているとおり、直接高橋さんに聞いてみよう。そうすれば、すべてが解決するはず。
きっと、何でもないに決まってる。悩んでばかりいて、損しちゃったって……ね。
そう自分に言い聞かせるようにして、勇気を出して高橋さんに直接聞いてみようという結論に達した。
そんな今日は、さほど忙しくなかったので、退社時間になって直ぐに帰れる感じだったが、やはり何となく高橋さんと土屋さんのことが気になって、何だかんだとまだ席に残っていた。
「まだ、帰らないの?」
エッ……。