新そよ風に乗って ⑥ 〜憧憬〜
笑っている?
私は今、本当にちゃんと笑えているんだろうか?
「中原さん。私……ちゃんと笑えていますか?」
「えっ? 何、言ってるんだよ。ほら、駅まで一緒に行こう」
信号が青になり、中原さんが私に渡るように促したので、それに従って横断歩道を渡りだした。
それから駅までの道程、中原さんは何も聞いてはくれなかったが、きっとそれは中原さんなりの優しさだということは、十分感じていた。
中原さんと駅で別れてから電車に乗っている間も、頭の中は高橋さんと土屋さんのことばかり考えてしまい、家に着いてから直ぐにシャワーを浴びてベッドの上にダイブした。
もう……何で、いつもこうなるんだろう?
安心出来たと思うと、また奈落の底に突き落とされる。
高橋さんと一緒に居ると、いつも本当に緊張の連続で、まさしくジェットコースターに乗っているような気分の連続。凄くドキドキするけれど楽しいのと同時に、それはいつも見守ってもらえている感じがしていた。
でも、見守ってもらえているはずなのに、何故か不安になることも沢山あって……。
思い返してみると、いつも不安な気持ちでいることの方が多い気がする。これから先も、ずっとこんな風に不安な気持ちでいることが多いのだろうか?
逃げも隠れもしないと言ってくれた高橋さんが、今日は聞いても何の説明もしてくれないまま立ち去って行ってしまった。もし、話してくれる気持ちがあったのなら、今日は時間がないけれどまた日を改めてとか、絶対高橋さんの性格からいって必ず何か言ってくれてたはず。聞いても、応えてくれないなんて。
土屋さんとのことがはっきりしないまま、不安な日々を過ごさなければならないの?
高橋さんは、確かにモテる。モテるが故に、いろんな障害が発生するはずだからと、まゆみにも言われた。
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