新そよ風に乗って ⑥ 〜憧憬〜
だけど……。
仕事中は、上司と部下に徹しなければいけないと日頃から肝に銘じていたが、それでもやはり随所に高橋さんが好きという気持ちが態度に表れてしまっていた。でも、今はそれも何だかピン! と、来ない。
私、どうしちゃったんだろう?
こんなに、高橋さんが好きなはずなのに……。
「ああ。俺が持ってくから、買わなくていいぞ」
高橋さんは、微笑みながらそう言った。
「そうですか……分かりました。お仕事中に、すみませんでした。お先に、失礼します」
高橋さんにお辞儀をして、事務所を出ようと歩き出した。
何で今……申し訳ないですから、私も持って行きますからと言わなかったんだろう?
高橋さんは、 『俺が持ってくから、買わなくていいぞ』 とは言ってはくれたけれど、それでも私も持って行きますぐらいは言えないと、社会人として常識に欠ける気がした。
何で、言わなかったんだろう?
早く、あの場を立ち去りたかったから?
あんなことを言われて、高橋さんの傍に少しでも居たくなかったから?
社交辞令が言えなかったことが心残りだったが、高橋さんが土屋さんのことを口にしたことで後味の悪いまま会社を出た。
駅に向かっている途中で、携帯電話がポケットの中で振動し始めたので、歩きながら携帯電話の画面を開いた。
あっ……。
携帯電話の画面に表示された ―高橋 貴博― の文字に震える手で操作しながらメールを開く。
―今、何処だ?―
えっ?
慌てて返信キーを押して、文章を打ち始めた。
―駅に向か―
そこまで打ったが、手を止め文章を消して直ぐに携帯電話をポケットに戻した。
そして、高橋さんのメールに気づいていながら返信をしなかったことに酷く後ろめたさを感じ、自然と足取りが速くなって電車に飛び乗ると、早く家に帰ってシャワーを浴びたくて、最寄り駅から急いで家に向かった。
早く、スッキリしたい。
心も、体も……。
家に入って直ぐにシャワーを浴びて、ベッドにゴロンとなりながらボーッと天井を見ていたが、ふと携帯電話が気になって手にとって画面を見ると、 【着信あり】 の表示が付いていた。
あれ?
もしかしたら、ちょうどシャワーを浴びていた時だったかもしれない。
そんなことを考えながらボタンを押すと、 ―着信あり 2件― と、なっていた。
嘘。
しかも、その2件とも高橋さんから。
携帯電話を握りしめながら、画面の文字を見つめる。
2度も電話を掛けてきたのは、何故?
何か、あったのかな?
仕事で、私が何かミスをしたとか?
でも……そうだとしたら、わざわざ電話なんてして来ない。
1度退社した人や休みの人には、なるべく高橋さん自身で解決出来ることは解決してくれて、絶対電話はして来ないはず。
だとすると……。
仕事中は、上司と部下に徹しなければいけないと日頃から肝に銘じていたが、それでもやはり随所に高橋さんが好きという気持ちが態度に表れてしまっていた。でも、今はそれも何だかピン! と、来ない。
私、どうしちゃったんだろう?
こんなに、高橋さんが好きなはずなのに……。
「ああ。俺が持ってくから、買わなくていいぞ」
高橋さんは、微笑みながらそう言った。
「そうですか……分かりました。お仕事中に、すみませんでした。お先に、失礼します」
高橋さんにお辞儀をして、事務所を出ようと歩き出した。
何で今……申し訳ないですから、私も持って行きますからと言わなかったんだろう?
高橋さんは、 『俺が持ってくから、買わなくていいぞ』 とは言ってはくれたけれど、それでも私も持って行きますぐらいは言えないと、社会人として常識に欠ける気がした。
何で、言わなかったんだろう?
早く、あの場を立ち去りたかったから?
あんなことを言われて、高橋さんの傍に少しでも居たくなかったから?
社交辞令が言えなかったことが心残りだったが、高橋さんが土屋さんのことを口にしたことで後味の悪いまま会社を出た。
駅に向かっている途中で、携帯電話がポケットの中で振動し始めたので、歩きながら携帯電話の画面を開いた。
あっ……。
携帯電話の画面に表示された ―高橋 貴博― の文字に震える手で操作しながらメールを開く。
―今、何処だ?―
えっ?
慌てて返信キーを押して、文章を打ち始めた。
―駅に向か―
そこまで打ったが、手を止め文章を消して直ぐに携帯電話をポケットに戻した。
そして、高橋さんのメールに気づいていながら返信をしなかったことに酷く後ろめたさを感じ、自然と足取りが速くなって電車に飛び乗ると、早く家に帰ってシャワーを浴びたくて、最寄り駅から急いで家に向かった。
早く、スッキリしたい。
心も、体も……。
家に入って直ぐにシャワーを浴びて、ベッドにゴロンとなりながらボーッと天井を見ていたが、ふと携帯電話が気になって手にとって画面を見ると、 【着信あり】 の表示が付いていた。
あれ?
もしかしたら、ちょうどシャワーを浴びていた時だったかもしれない。
そんなことを考えながらボタンを押すと、 ―着信あり 2件― と、なっていた。
嘘。
しかも、その2件とも高橋さんから。
携帯電話を握りしめながら、画面の文字を見つめる。
2度も電話を掛けてきたのは、何故?
何か、あったのかな?
仕事で、私が何かミスをしたとか?
でも……そうだとしたら、わざわざ電話なんてして来ない。
1度退社した人や休みの人には、なるべく高橋さん自身で解決出来ることは解決してくれて、絶対電話はして来ないはず。
だとすると……。