新そよ風に乗って ⑥ 〜憧憬〜
「早く、本締めが終わるといいですね」
「そうだな」
「でも、その後も総会があるから、高橋さんはまだ忙しいんですよね」
「そうでもないが」
「そうなんですか?」
「ああ」
あれ?
何か……違う。
高橋さん。あまり話したくないのかな。
それとも、仕事のことか何か考えごとでもしているのかもしれない。
でも、何か考えごとをしていても、いつも会話はちゃんとしてくれていた。だけど、今日は……どうしたんだろう?
そんなことを考えていたら、話し掛けづらくなってしまい、その後は殆ど沈黙したまま家の前に着いてしまった。
いつものように、高橋さんが助手席のドアを開けてくれる。
何も話さないまま挨拶だけして、このまま別れるのは何となく嫌だった。
「送って下さって、ありがとうございます。そう言えば、高橋さん。この前、連れて行って頂いた無国籍料理のお店。本当に美味しかったんで、また何時か機会があったら連れて行って下さいね」
精一杯、微笑みながら高橋さんの顔を見上げると、高橋さんも私を見ていた。
エッ……。
でも高橋さんの表情は、とても険しく何も色を成してない冷酷な瞳をしていて……。
私、何か余計なこと、言っちゃったの?
直ぐに視線を逸らすことも出来ず、暫く車の前で向き合う形になったが、それは見つめ合うというには程遠く……。
「悪いが、お前と暫く距離を置きたい」
「えっ?」
心臓が口から飛び出そうになって悲鳴を上げてしまいそうになり、慌てて両手で口を抑えたが、あまりにも衝撃的な高橋さんの言葉に、一旦、上にあがった心臓が猛スピードで落ちていくようなで気持ちが悪かった。
鼓動が早く、瞬きすらすることも忘れ、呼吸が苦しいせいか口を少し開けながら息をしている。
「どうして……ですか? 私、何か高橋さんに……あの、この前、急に帰ったりしたからですか? だからなんですか? それで、高橋さ……」
「いや、そうじゃない」
途中で、高橋さんに遮られるように言い返された。
「じゃあ、どうして……」
高橋さんを見上げた私の右目から涙が溢れ、その涙をそっと高橋さんの左手の親指が拭ってくれた。
「このままじゃ、お前も俺も駄目になる」
「そんな……何故ですか?」
高橋さんも私も駄目になるって、どういう意味なの?
どうして?
「そうだな」
「でも、その後も総会があるから、高橋さんはまだ忙しいんですよね」
「そうでもないが」
「そうなんですか?」
「ああ」
あれ?
何か……違う。
高橋さん。あまり話したくないのかな。
それとも、仕事のことか何か考えごとでもしているのかもしれない。
でも、何か考えごとをしていても、いつも会話はちゃんとしてくれていた。だけど、今日は……どうしたんだろう?
そんなことを考えていたら、話し掛けづらくなってしまい、その後は殆ど沈黙したまま家の前に着いてしまった。
いつものように、高橋さんが助手席のドアを開けてくれる。
何も話さないまま挨拶だけして、このまま別れるのは何となく嫌だった。
「送って下さって、ありがとうございます。そう言えば、高橋さん。この前、連れて行って頂いた無国籍料理のお店。本当に美味しかったんで、また何時か機会があったら連れて行って下さいね」
精一杯、微笑みながら高橋さんの顔を見上げると、高橋さんも私を見ていた。
エッ……。
でも高橋さんの表情は、とても険しく何も色を成してない冷酷な瞳をしていて……。
私、何か余計なこと、言っちゃったの?
直ぐに視線を逸らすことも出来ず、暫く車の前で向き合う形になったが、それは見つめ合うというには程遠く……。
「悪いが、お前と暫く距離を置きたい」
「えっ?」
心臓が口から飛び出そうになって悲鳴を上げてしまいそうになり、慌てて両手で口を抑えたが、あまりにも衝撃的な高橋さんの言葉に、一旦、上にあがった心臓が猛スピードで落ちていくようなで気持ちが悪かった。
鼓動が早く、瞬きすらすることも忘れ、呼吸が苦しいせいか口を少し開けながら息をしている。
「どうして……ですか? 私、何か高橋さんに……あの、この前、急に帰ったりしたからですか? だからなんですか? それで、高橋さ……」
「いや、そうじゃない」
途中で、高橋さんに遮られるように言い返された。
「じゃあ、どうして……」
高橋さんを見上げた私の右目から涙が溢れ、その涙をそっと高橋さんの左手の親指が拭ってくれた。
「このままじゃ、お前も俺も駄目になる」
「そんな……何故ですか?」
高橋さんも私も駄目になるって、どういう意味なの?
どうして?