新そよ風に乗って ⑥ 〜憧憬〜
黙って見つめ合っているこの沈黙が、何時間にも感じられる。
「今の俺は、正面切ってお前と向き合えない。自分の気持ちに正直になろうとすればするほど、安易な考えばかりが浮かんでくる」
「安易な考え?」
高橋さんが、黙って頷いた。
「人間誰しも、楽な方へ進みたいものなんだよ。俺もそうだ。でも、それでは何の解決にもならない。ことある毎に気持ちが揺れたり不安定になっていたら、その度にお前を不安にさせるだろう? それでは、お前に甘えているだけの男として甲斐性がなさ過ぎる。不甲斐ない男だ俺は」
ことある毎に……って? ミサさんと再会してしまったこと?
「高橋さん。私は、そんな風に思ったことなんて……」
「ありがとう。お前の気持ちは有り難いが、これは俺自身の自分で自分に対するけじめなんだ。そのけじめがつけられるまでは、楽を選んでお前に接することはしたくない。言葉を換えれば、お前と一緒に楽しんでいたら、何時までたっても自分自身にけじめはつけられない」
そんな……。
「だからと言って、けじめがつけられるまでお前に待っていてくれとは言わない。それが何時までとか、どのぐらいかと聞かれても期限なんて俺にも分からないから」
「高橋さん……」
「そんなことをしたら、お前をがんじがらめにしてしまう。お前に、もし……他に好きな人が出来ても、俺のことは気にするな」
「そんなことない! そんなことないです」
こんなのって、こんなのって……。
「突然、そんなこと言われても私……」
「先のことは、お前にも俺にも分からない。お前が幸せになってくれること。俺は、それが1番だと思っている」
「そんな……」
「これは、本心だ」
ああ……。
容赦なく、胸に突き刺さる言葉。
「今の俺は、正面切ってお前と向き合えない。自分の気持ちに正直になろうとすればするほど、安易な考えばかりが浮かんでくる」
「安易な考え?」
高橋さんが、黙って頷いた。
「人間誰しも、楽な方へ進みたいものなんだよ。俺もそうだ。でも、それでは何の解決にもならない。ことある毎に気持ちが揺れたり不安定になっていたら、その度にお前を不安にさせるだろう? それでは、お前に甘えているだけの男として甲斐性がなさ過ぎる。不甲斐ない男だ俺は」
ことある毎に……って? ミサさんと再会してしまったこと?
「高橋さん。私は、そんな風に思ったことなんて……」
「ありがとう。お前の気持ちは有り難いが、これは俺自身の自分で自分に対するけじめなんだ。そのけじめがつけられるまでは、楽を選んでお前に接することはしたくない。言葉を換えれば、お前と一緒に楽しんでいたら、何時までたっても自分自身にけじめはつけられない」
そんな……。
「だからと言って、けじめがつけられるまでお前に待っていてくれとは言わない。それが何時までとか、どのぐらいかと聞かれても期限なんて俺にも分からないから」
「高橋さん……」
「そんなことをしたら、お前をがんじがらめにしてしまう。お前に、もし……他に好きな人が出来ても、俺のことは気にするな」
「そんなことない! そんなことないです」
こんなのって、こんなのって……。
「突然、そんなこと言われても私……」
「先のことは、お前にも俺にも分からない。お前が幸せになってくれること。俺は、それが1番だと思っている」
「そんな……」
「これは、本心だ」
ああ……。
容赦なく、胸に突き刺さる言葉。