新そよ風に乗って ⑥ 〜憧憬〜
中原さんは、気が引けるといった感じの表情を浮かべている。
「どうせ俺は車だし、直ぐ追いつくから」
「そうですか? それじゃ、お言葉に甘えて。矢島さん。先に行こう」
「はい。高橋さん。お先に行ってます」
「ああ。悪いな。気をつけて」
「はい」
本当に、普通なんだ。
今の高橋さんにとって私は部下であって、それ以上のものは存在しない。昔も同じようなことを考えて悩んだことがあったが、あの時とはもう違う。あまりにも、高橋さんの近くに居すぎたのかな? それが、当たり前のようになってしまっていた。
中原さんと電車に乗って、ホテルのある最寄り駅に着いた。
「中原さんは、誰と一緒のお部屋なんですか?」
気を紛らわそうと、中原さんに話し掛けた。
「今年は、1人部屋なんだ。だから楽だよ」
「そうなんですか? 良かったですね」
役職者は必然的に1人部屋になるので、高橋さんと中原さんが一緒の部屋になることはない。でも、今年は中原さんも1人部屋に当たったらしく喜んでいた。
「矢島さんは?」
「実は、私もまた1人なんです。本当は2人だったんですが、一緒の部屋になった主計の人が急に来られなくなって。だから、そのまま2人部屋に1人になっちゃったんですが」
「そうなんだ。広くて、良かったじゃん」
「はい」
ホテルに着いて、フロントで名前を告げて部屋のカードキーを受け取り、部屋に荷物を置きに行こうとエレベーターを待っていると、何だか目眩がしてきて周りの景色がグルグルまわっていた。
「矢島さん。大丈夫?」
きっと、体が揺れていたのかもしれない。
中原さんが、私の腕を掴んで支えてくれた。
「はい。すみません、大丈夫です。お腹が空いて、フラフラしちゃったのかもしれません」
「そうなんだ。びっくりしたよ」
エレベーターに乗って経理部の泊まる階に着き、中原さんと隣同士の部屋だということも分かったので、荷物を置いて着替えたら私が中原さんを迎えに行って宴会場に一緒に行くことにした。
部屋に入り、ベッドの上に荷物を置いて着替えようと窓のカーテンを閉めた。
あっ……まただ。
また目眩がしてベッドの上に取り敢えず座ったが、座っているのもだんだん辛くなってきて、少しジッとしていうようと靴を脱いでベッドに横になった。
「どうせ俺は車だし、直ぐ追いつくから」
「そうですか? それじゃ、お言葉に甘えて。矢島さん。先に行こう」
「はい。高橋さん。お先に行ってます」
「ああ。悪いな。気をつけて」
「はい」
本当に、普通なんだ。
今の高橋さんにとって私は部下であって、それ以上のものは存在しない。昔も同じようなことを考えて悩んだことがあったが、あの時とはもう違う。あまりにも、高橋さんの近くに居すぎたのかな? それが、当たり前のようになってしまっていた。
中原さんと電車に乗って、ホテルのある最寄り駅に着いた。
「中原さんは、誰と一緒のお部屋なんですか?」
気を紛らわそうと、中原さんに話し掛けた。
「今年は、1人部屋なんだ。だから楽だよ」
「そうなんですか? 良かったですね」
役職者は必然的に1人部屋になるので、高橋さんと中原さんが一緒の部屋になることはない。でも、今年は中原さんも1人部屋に当たったらしく喜んでいた。
「矢島さんは?」
「実は、私もまた1人なんです。本当は2人だったんですが、一緒の部屋になった主計の人が急に来られなくなって。だから、そのまま2人部屋に1人になっちゃったんですが」
「そうなんだ。広くて、良かったじゃん」
「はい」
ホテルに着いて、フロントで名前を告げて部屋のカードキーを受け取り、部屋に荷物を置きに行こうとエレベーターを待っていると、何だか目眩がしてきて周りの景色がグルグルまわっていた。
「矢島さん。大丈夫?」
きっと、体が揺れていたのかもしれない。
中原さんが、私の腕を掴んで支えてくれた。
「はい。すみません、大丈夫です。お腹が空いて、フラフラしちゃったのかもしれません」
「そうなんだ。びっくりしたよ」
エレベーターに乗って経理部の泊まる階に着き、中原さんと隣同士の部屋だということも分かったので、荷物を置いて着替えたら私が中原さんを迎えに行って宴会場に一緒に行くことにした。
部屋に入り、ベッドの上に荷物を置いて着替えようと窓のカーテンを閉めた。
あっ……まただ。
また目眩がしてベッドの上に取り敢えず座ったが、座っているのもだんだん辛くなってきて、少しジッとしていうようと靴を脱いでベッドに横になった。