婚約破棄寸前の不遇令嬢はスパイとなって隣国に行く〜いつのまにか王太子殿下に愛されていました〜


「オディール・ジャニーヌ侯爵令嬢」

 にわかにレイが跪いた。彼の熱を帯びた視線がまっすぐにわたしを見据える。

「えっ――」

 わたしが驚く間もなく、

「私、レイモンド・ローラントはあなたを愛しています。……どうか、私と――」

「ピャーッ!」

 そのときだった。矢庭にヴェルがビュンと勢いよく飛んできて、レイの持ってあるダイヤモンドの指輪を嘴で咥えた。

「こ、こらっ! ヴェル! 返せ!」

 レイが飛び上がって手を伸ばすが、ヴェルはひょいと躱して旋回してからわたしの左肩に止まった。
 そして、わたしの掌の上にポトリと指輪を落として――、

「オディール・ローラント ハ オウタイシヒ ソレダケガトリエサ」

「えっ?」

 わたしは目を丸くしたあと、一拍してみるみる頬を染める。
 い、今……なんて…………。

「おいっ、ヴェル! 僕より先に言うなっ! プロポーズはこれからなんだぞっ!?」

 レイが顔を真っ赤にさせながら叫んだ。

「ええぇっ!?」

 びっくりして、わたしも叫んだ。

 ヴェルは陽気に繰り返す。

「オディール・ローラント ハ オウタイシヒ ソレダケガトリエサ」


「「ヴェルっ!!」」


 二人の重なった声が夜空に響く。



< 303 / 303 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:46

この作品の感想を3つまで選択できます。

  • 処理中にエラーが発生したためひとこと感想を投票できません。
  • 投票する

この作家の他の作品

表紙を見る 表紙を閉じる
「君のためを思って」 シャルロッテ侯爵令嬢の、婚約者のハインリヒ公爵令息の口癖だ。 本当にわたくしのため……? ★他サイト様にも投稿しています! ★「小説家になろう」2025/12/31日間総合4位
表紙を見る 表紙を閉じる
「で〜んかっ♡」 シャルロッテ侯爵令嬢は婚約者であるエドゥアルト王子をローゼ男爵令嬢に奪われてしまった。 下位貴族に無様に敗北した惨めな彼女が起死回生を賭けて起こした行動は……? ★他サイト様にも投稿しています! ★小説家になろう2022/8/9日間総合1位
黒の花嫁/白の花嫁

総文字数/109,615

ファンタジー124ページ

表紙を見る 表紙を閉じる
秋葉は「千年に一人」の霊力を持つ少女で、幼い頃に龍神――白龍の花嫁として選ばれていた。 だが、双子の妹の春菜の命を救うために、その霊力を代償として失ってしまう。 しかも、秋葉の力は全て春菜へと移り、花嫁の座まで奪われてしまった。 それ以来、家族から「無能」と蔑まれながらも、秋葉は失われた力を取り戻すために静かに鍛錬を続けていた。 そして五年後、白龍と春菜の婚礼の日。 秋葉はついに霊力が戻らず、一縷の望みも消えてしまった。 絶望の淵に立つ彼女の前に、ひとりの青年が現れる。 「余りもの同士、仲良くやろうや」 彼もまた、龍神――黒龍だった。 ★ザマァは軽めです! ★後半にバトル描写が若干あります! ★他サイト様にも投稿しています!

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop