麻衣ロード、そのイカレた軌跡⓽最終話/魂の交尾
ファーストレジェンド~また猛る季節まで/その17
真樹子



ゲーッ…

ベッツが閉店した後…、私は客の帰った店のトイレを、正確には便器をしばし占領してたいたわ

「アハハハ…、こういう時は何もかも吐き出すのが一番ね。胃の奥のモンはもういいの?」

「ええ…、今、胃液まで吐いてきました」

「そう…。じゃあ、後は心の奥にこびり付いたモノ…、私から言わせればヤニね。…マキちゃん、今夜私にそれ、思いっきり吐き出しなさい」

「吹子さん…!」

かくてこの夜…、線路沿いのこの店に始発電車の轟音が耳に届くまで、私は憧憬する大姉御に心のヤニを吐き出し尽くした

...


「…順二にはいい加減、”私から”一言ぶち込むくらいの気持ちに至ってるとこだった。今、盛くんの墓前で”このこと”を告げたら、ゾンビになってでも順二をボコりに降りてくるだろうね…(苦笑)」

吹子さんは、ちょっとこぼれ笑いを見せていたわ

それにつられ、私も思わずクスッとむくんだ顔からイタいニコリが自然に漏れた

「いい、マキちゃん!いやがおうにも、この夏は大荒れよ。いつまでも、しょぼんとしてるヒマはないっての!あんたがこの試練を消化できれば、きっと順二に一矢を報いることが出来る。この機会を踏んで、意地を見せてやりなさい。今夏の再編ムーブメントでは、台風の目になるくらいの意気込みを持ちなさい‼」

この黒原未亡人の喝、言葉、そして間もなく私の前に現れる麻衣さんとの運命的な魂の交尾…

さらに、三田村さんとの摩訶不思議な数年間先を見通した共同歩調の歩みも…

それらがドラスティックにコンフュージョンした激震の夏が、”こっち”に向かって手招きをしていたんだろう

だが、この夜はまだ、砂垣順二を、こんなに傷ついた自分自身の中でも”総括”が出来ていなかったんだよね…




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