麻衣ロード、そのイカレた軌跡⓽最終話/魂の交尾
ファーストレジェンド~また猛る季節まで/その24
真樹子



私の決して大きくない両の目が捉えたのは、私をリンチに”掛けかけた”、砂垣さんの片腕・大場さんのアップ写真だったのよ

しかも、その写真の隅に刻まれた日付は、私と”同日”だった

その日、テツヤをやり損ねたヘマのケジメを私が連れた愚連隊に”施した”あと、私にまでリンチしかけた大場さんがリンチされてる現場の写真だっだもんね

やくざもん数人に抑えつけられてバリカンを入れられ、涙目で命乞いをする哀れな姿が生々しく写っていたわ

そして、豹子からこの写真を見せられた意味をすぐに理解できたわ

同時に彼女の名のった相馬という名字も咄嗟に頭に浮かんだ

”私には、星流会が押す砂垣一派を潰すくらい簡単にできるのよ”

これが彼女の私へのメッセージだったはずだ

つまり、砂垣さんは事実上、豹子には逆らえない立場ってこと

案の定、豹子と名乗るこの高校1年生は、何と、もうあの砂垣さんを掌に乗せていたわ…

ここまで明確にかみ砕けても、たかだか高校1年の少女がここまでの力を駆使できるなんてとても信じられなかったわね、やっぱりね…

...


私はこの後、廃倉庫内で相馬豹子に覚悟を試されることとなる

タバコの火を内腿に当てると言う、いわば根性焼の儀式ってことだったよ

それを告げられた私の脳裏には、数日前、砂垣さんや大場さんにフル回転したバイクのタイヤに顔を押し付けられる寸前まで追い込まれた恐怖、ひざまついて命乞いをした屈辱感がフラッシュバックし、全身から汗が染みだしてきたわよ

でも、豹子は砂垣さんらとは違っていた

年端もいかない彼女は、なんと、まず自分から火のついたタバコを自らの左太ももの内側に押し付けたのよ

彼女は熱さという激痛に顔を歪ませ歯を食いしばって、数秒間耐えたわ

その間、私は瞬きを忘れて彼女を見届けていた

見事だったわ

さあ、次は自分の番だ…

...


私はブルブルと震え脂汗を滴らせ、アタマはもうパニくっててね…

気が付くと豹子の胸に顔を埋もれさせて抱き着いていたわ

そんな私を彼女は包み込むように抱き抱えて、ゆっくりとタバコに火を灯した

”行くわよ…”

彼女は一気に私の左ももにタバコを押し当てた

”ギャー!熱いよー”

”3、2、1…、はい、終わりよ!”

儀式が終わった後も、私は彼女の”腕の中”で身を委ね、すがりつきながらワイワイ泣いていたわ

だが、この瞬間、私は生まれ変わった実感を得たんだよね

何だか妙な解放感も伴って…

...



不思議な感覚だった

どこか心地よい気分もしたかな…

それは、人と結びついた喜び、人の心が見えた安堵…

とにかく生れて始めた味わった珠玉の瞬間だったってことよ

以後、私は相馬豹子こと本郷麻衣さんと共に、都県境勢力図のフレーム再編に向かって驀進することになる訳でね…



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