麻衣ロード、そのイカレた軌跡⓽最終話/魂の交尾
ファーストレジェンド~また猛る季節まで/その6
真樹子



「真樹子さん!なんか、見慣れない女の人が呼んでますよ…」

当時、街道沿いにオープンしたばかりだった総合娯楽センター”ルーカス”のスロットマシーンと格闘していた私に、後輩がやや慌てた表情で声をかけてきた

「そう…。どこにいるの、その人」

「ああ、奥の喫茶コーナーで待ってます。向こうは一人ですが、みんなで行った方がいいんじゃないですか?」

「いや、私一人で会ってくる。心配いらないから、みんなはここで遊んでな」

「はい…」

この頃、私に反感を抱く複数のグループが不穏な動きをしているようだとの噂が立っていたんで、私の取り巻きは神経を尖らせていたのよね

でも、この時分はそんな噂なんかにびくびくするようなことはなく、何しろ自分に自信を持っていたわ

...


「あのう…。私、岩本ですが何か用ですかね?」

「ああ、アンタね…。まあ、そこに掛けなさいよ」

ちょっとでっぷりした体形の女は、私よりもさらにちっちゃい目で、ギロリとこっちを一べつすると、ぶっきらぼうな物言いで話しかけた

「ぶしつけだけど、私は複数の女たちから”ある依頼”を受けててね」

「はあ…」

「その”依頼”ってのはね、いい気になってる岩本真樹子を貶めてやってくれって、まあそういうことなんだけどねえ…」

”その女”はストレートに話してくれたわ

「そうですか。でも、それを私に言っちゃっていいんですか?」

「…その前に自己紹介するわ、岩本さん。私は三田村って者よ。まあ、よろしく」

「こちらこそ…」

これが、のちに”評判のよくない先輩”として都県境で特異な存在を確立して暗躍する、三田村さんとのファーストコンタクトだったわ

...


「いいかい、岩本さん…。私はまずあんたに会って、こっちの話に納得してくれるようなら、”その依頼”は断る気でいるんだよ。まずは私の話、聞いてくれるかい?」

「ええ、そういうことなら伺いましょう」

この時、三田村さんからは、どこか一途な、何やら訴えかけたいという想いがあるように感じ取れた

なんとなくではあったが…

そして彼女の口から出たのは、まさに目が点になるような、思いもよらぬ話だった




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