彼に潜む影
「はい、東郷です。……そうですか。すぐにそちらに向かいます」
基治を装って丁寧な対応をした男は、通話を切るとデスクに倒された愛佳を乱暴に引っ張り起こした。
「行くぞ」
「どこへ?」
「鷹治が目を覚ましたそうだ」
「え?」
鷹治さんの中で目を覚ましたのは、基治さん……?
「一緒に来て確かめてみろよ。目覚めた鷹治が誰なのか」
顔を強張らせる愛佳に、基治の姿をした男が蠱惑的に微笑んだ。
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