再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています
「お父さん。加賀美さんがお見舞いに来てくれたよ」
「なに⁉ 加賀美くんが?」
くるまっていた布団から父が勢いよく顔を出した。
「ご無沙汰しています、佐波さん」
優しく目元を細めて笑顔を浮かべた加賀美さん。それを見た父の表情がぱぁっと明るくなった。
「久しぶりじゃないか加賀美くん。元気にしていたか」
加賀美さんが来てくれたのがよほどうれしかったのだろう。
父は掛布団を勢いよくはがすと、寝ていた体を起こしてベッドに座り直す。
「こっちに戻ってきたのか?」
「はい、今月から本庁にいます」
「部署は?」
「それは、まぁ……」
加賀美さんが苦笑して言葉を濁す。父もそれ以上は聞こうとせず話題を変えた。
「スーツを着ているが仕事をしてきたのか?」
「はい。呼び出されて午前中だけ」
「そりゃご苦労さん。忙しいのに俺なんかに会いに来てくれてありがとな。最後に加賀美くんの元気な顔が見られてよかった。これで思い残すことはなにもない」
「お父さん! またそんなこと言って」
加賀美さんの前でも後ろ向きな発言をする父を見て溜息がこぼれた。
「らしくないですよ、佐波さん」
父のせいで重苦しい空気になってしまったが、それを一瞬で取り払うような加賀美さんの優しい声が響く。