再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています


「いや、その前に『娘さんを僕にください』というセリフを相手の男から聞かないといけないな」

「そのとき佐波さんはなんて答えるんですか?」


父の〝やりたいこと〟を聞いた加賀美さんが楽しそうに微笑みながら尋ねる。

父はわざと厳格な表情を作り、普段よりもだいぶ低い声で答えた。


「『お前に娘はやらん』そう言って追い返してやる」

「それだと千晶ちゃんが結婚できませんよ。一緒にバージンロードも歩けないし、お孫さんの顔も見られないじゃないですか」


くすっと加賀美さんが笑う。父が大きく首を横に振った。


「わかってないな、加賀美くんは。そこで怯むような男は大したことがない。それでも挑んでくるような骨のあるやつじゃないと千晶の結婚相手には認めんよ。俺よりも強くて頼りになって、かっこいい男が理想だな」

「佐波さんのお眼鏡に叶う男はいるのかな。千晶ちゃんは結婚相手を見つけるのが難しそうだ」


和やかに話すふたりの会話を聞きながら、そんな未来がくればいいのにと鼻の奥がつんと痛くなり視界が揺らめく。

結婚相手を父に厳しく品定めされてもいいから、そんな日がくるまで父には元気でいてほしい。

父と一緒にバージンロードを歩きたいし、孫の顔だって見せてあげたい。

一緒に食事に行ったり旅行に行ったり。趣味の釣りにも付き合いたい。

これから親孝行をたくさんしようと思っていたのに、このままでは父は……。


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