再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています
「ごめんね、千晶。あの日あなたを置いていってしまって」
「どうして……」
とっさに飛び出た私の声は震えていた。勢いよく顔を上げて母を見つめる。
「どうしてあの日家を出ていったの。私のことを置いていったの」
母が家を出ていった理由をずっと知りたかった。父に聞けば教えてくれたのかもしれない。でもなんとなく聞きづらくて父の前で母の話題を出すのをずっとためらっていた。
「お母さんが弱かったの」
そう切り出して母が言葉を続ける。
「あの頃のお父さんは仕事ばかりを優先させてなかなか家に帰ってこなかった。だから必要とされていないと感じて寂しかったの。お父さん、千晶のことはすごく可愛がっていたけどお母さんに対しては冷たかったから」
子供の頃を思い出してみる。確かにあの頃、父が家にいた記憶はあまりない。私はいつも母とふたりで過ごしていた気がする。
「それである日思ったの。私って必要なのかなって。そう思い始めたらもっと自分を必要としてもらえる場所に行きたくなって家を出た。限界だったのよ……」
当時を思い出しているのか苦しげに語る母を見て、あの頃の母の顔をぼんやりとだけど思い出せた。
笑顔はなく、うつろな表情。私が描いた絵を見せてもなんの反応もしてくれない。あの頃の私は母に嫌われていると思っていた。