再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています


「千晶」


イスから立ち上がった母が私の隣に腰を下ろす。そしてぎゅっと強く私を抱き締めた。


「ごめんね千晶。お母さんのことを許して」


ぽろぽろと涙を流す私の髪を母の手が何度も優しく撫でている。ごめんねと繰り返す母の声も震えていて、きっと彼女も泣いているのだろう。

私を抱き締めている母の体をそっと押して距離を作った。


「私はずっとお母さんに嫌われていると思ってた。捨てられたと思ってた。だからすぐには許すことができない」

「千晶」

「でも、少しずつ許していきたい。だから私とまた会ってくれる?」

「もちろんよ。またいつでも会いましょう」


母が泣きながら笑顔を見せる。それに釣られるように私の表情も和らいだ。


「あと、お父さんにも会ってあげてほしい。きっと後悔していると思うから」


母と離婚をする前の父は仕事で家にいない日が多かった。でも離婚後はきちんと家に帰ってくるようになったし、私と過ごす時間を大切にしてくれた。

きっと父なりに猛反省したのだろう。そして当時の自分を後悔するように、母が家を出て行った日は毎年必ず酔い潰れて帰宅する。きっと父も辛かったはずだ。

さっき母は父の態度が自分にだけは冷たかったと言っていたが、父が意識して母に冷たい態度を取っていたわけではないと思う。

父なりに母のことを大切に思っていたが、きっと思いやりが足りなかったのだろう。


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