再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています
「触られてるな」
どうやら英介さんにも見えたらしい。
女の子は俯きながらじっと堪えている。その姿が過去の自分と重なった。
助けないと……!
そう思って席を立とうとした私の肩を英介さんが優しく押し返す。
「千晶はここで待ってて」
軽く微笑みながら私の動きを制したあと、英介さんの顔つきが一段と険しくなった。
揺れている車内を颯爽と移動して女の子のもとへ近づいていく。そして彼女の隣に行くと険しい表情を崩して優しく声を掛けた。
「大丈夫?」
突然英介さんが近くにきて驚いたのか、女の子に触っていた男の手が離れる。その手を英介さんがすかさず掴んだ。
――あれ? 今のって……。
英介さんが痴漢加害者の男を捕まえたのを見てふと思い出した。
同じような光景を前にも見たことがある。
あのときは私があの女の子で、大学生くらいの男の人が今の英介さんと同じように私を助けてくれて……。
「離せっ」
英介さんに手首を掴まれた男が抵抗している声でハッと我に返る。
男は逃げようとしているようだが、英介さんの力には適わないらしくその場でじたばたと暴れていた。
それを見ていた乗客の男性が英介さんに加勢するように痴漢加害者の男の反対の腕を掴んで動きを止める。ふたりがかりで確保されて観念したのか、痴漢加害者の男はぐったりと力が抜けたように大人しくなった。