再会したクールな警察官僚に燃え滾る独占欲で溺愛保護されています
英介さんが思い出すようにゆっくりと口を開く。
「大学生の頃だったかな。あのときも確か制服を着ている女の子がスーツ姿の男に触られているのに気付いて声を掛けたんだ。で、男を掴まえて駅員に突き出したんだよな」
話しているうちに鮮明に思い出せたのだろう。
「あのときの子ってもしかして千晶?」
「うん、そうだと思う」
英介さんを見つめ返して大きく頷く。
「私もさっき気付いたの。あのとき私を助けてくれたのは英介さんだよ」
いきなり男に声を掛けるのではなくて、まずは女の子に話し掛ける。そのあとで女の子に触れていた男の手を素早く掴み、次に停車した駅で降りて駅員に男を引き渡す。
さっきの英介さんは私のときとまったく同じ方法で痴漢の加害者を捕まえていた。
「そっか、俺だったのか。千晶の話を聞いても思い出せなかったのに、さっきふと思い出したんだよな。俺って記憶力が悪いのかも」
当時と似た状況になって思い出したのかもしれない。
真剣な表情で悩む英介さんを見て思わずくすっと笑ってしまった。
英介さんは記憶力が悪いのではない。普段から当たり前のように困っている人に手を差し伸べているから、その人たちを助けたときのことなんてひとつひとつ覚えていないだけ。