【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!

「マリアは俺の命を救ったのだ。命の恩人のマリアを蔑視や軽視するような言動は、誰であっても許さぬ。だから安心して、皇城で過ごすといい」

 不意打ちのように届いた、思いもよらぬ言葉にマリアは愕然とする。ジルベルトの甘い言葉の余韻も吹き飛んでしまうほどに。

 ——皇、城。

 今のは聞き間違いではなかろうか。そういえばこの馬車がいったいどこに向かっているのかを、誰にも問うた事はない。

「今……なんとおっしゃいましたか」
「?」
「馬車は、どこに向かっていると……」
「顔色が良くないな。どうした、具合でも悪くなったのか?」

 ジルベルトに掴まれた指先が、痛いほどの熱に包まれる。マリアを繋ぎとめようとするかのように、筋張った手のひらにぎゅっと力が込められた。

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