【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!

「そう……ですよね。大きな絵画でなくても良いのです。ラムダさんが描いた絵を、いつか私にも見せてくださいね」

 ストロベリーブロンドの髪に変わらず光の妖精を(まと)い、マリアの笑顔がかがやく。

 ——わたくしはまだマリア様の事を良く知らない。
 けれどこの人は、生来の下女ではないような気がする。
 わたくしの本能の声がそう告げている。

 もっと知りたいと思うのは単なる興味本位なのか、それとも。
 もしかすると皇太子も、自分と似たような気持ちなのかも知れない。

「お支度をいたしましょう、マリア様。まずは湯浴みをなさいますよね?」

 湯浴みと聞いて、マリアの心がさざめき立つ。
 『お茶役』という《《夜伽》》としてジルベルトと一夜を過ごしたと、ラムダは思っているに違いない。

 《《何も》》していないのに、頬がかぁっと熱くなって!

「湯浴みは、大丈夫です。ジルベルト様と一緒にお水を飲んだだけなので……っ」

 マリアの想像通り、ラムダが目を丸くしている。

「そ、それより……『お支度』とは、いったいなんの……?」

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