【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!

 そういえば——あの時、あの瞬間も、王女リュシエンヌはメイドの格好をしていた。
 リュシエンヌが第二の母親のように慕っていたシャルロワの侍女、リーナの、咄嗟の機転によって。

 ——ああ、リーナ。
 あなたのお仕着せを着せてもらったお陰で、皇太子に気付かれずに済んだのよ……? 私が今、アスガルド帝国の皇城にいると知ったら。あなたはどんな顔をするのでしょうね……。

「まぁ、適当にいたしますわ」

 ラムダは、ふいっ、とそっぽを向いた。

 ——フェリクス公爵様、もちろんです。

 リーナに救われたこの命。
 恐ろしい皇太子がいるかも知れない場所になんて、絶対に近寄ったりなんかしません。



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