【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!

 二人の頭上に広がっている青空は、徐々に色濃く染まりゆく。

 年に一度の今日——。
 日暮れ時を迎えても太陽が山の端に完全に落ちることはなく、橙色の空が次第に群青味を持ち、最終的には青紫色に染まった空が明日の明け方まで続くはずだ。

 しっかりと手を繋がれたまま広場を横切るように歩きながら、マリアは幾度となくジルベルトの秀麗な面輪を見上げた。

 ——私を待ちわびている……って。
 商会の人たちが待ちわびているのは、ジルベルトなのでは……?

 その何度目かで、不意に視線を下げた碧い瞳と鉢合わせ、どきりと息をのむ。

「気付いてるよ。さっきから何度も俺の顔を見上げて。何かのおねだり?」
「いっ、いえ……おねだりだなんて、ちがいます!」

 ジルベルトがまたいつもの悪戯な笑みを浮かべている。
 マリアの反応を見て楽しんでいるのだ。
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