【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
「《《私を》》待ちわびている人、というあなたの言葉が、気になったものですから」
「マリア——。俺もずっと気になっていた事がある。マリアは母君を亡くしてから、身寄りもなく下働きをして過ごしたと言っていたろう? マリアの立ち居振る舞いや礼儀作法は、中流階級以下の家柄出身のものではない。俺も、周囲の者たちもしっかりとそれを見ている」
虚を突かれ、立ち止まりそうになった。
皇城の獅子宮殿に身を置いたことで、王宮で暮らしていた頃の生活と記憶が甦り、身に染みついた習慣が無意識に溢れ出た。
——私は……、また……、粗忽にも、下働きの下女にはあるまじき立ち居振る舞いを、してしまっていたのね。
少々のドジなら、食事を抜かれたり折檻を受けたりすればその場を凌げる。だが自分の意識不足で周囲に見せてしまったものを、もう取り消す事はできない。
「もしも俺の想像が正しければ、マリアは高位の身分を持つ家柄の令嬢だ。更に爵位を持つ家柄であれば、ご両親亡き後もその爵位が留保されている可能性がある」
ジルベルトは立ち止まり、マリアを真剣な目で見下ろした。心臓の鼓動が高鳴り、緊張で息を吸うことすら忘れそうになる。