【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!

「爵位を持つ、家柄……」

「マリアは二十歳になるのだろう? 母君が亡くなられた時点ではその権利が無かったとしても、君が十八歳になり成人を過ぎた今は、留保された爵位を継ぐ事ができるんだ。だがこれはあくまでも仮説と俺の想像でしかないが」

「私が爵位を持つ家柄の、没落令嬢だ……と……?」
 
 爵位の有る無しなど、家名を名乗ればすぐに調べがついてしまう。下手な事は言えないのだし、まずマリアは亡国の王女なのだから爵位など持ち合わせてはいない。

「だが腑に落ちない点もある。生まれ落ちてからの下民ならば、俺はこんな疑問を抱かぬだろう。かつて裕福な暮らしをし、書物から得たであろう豊かな知識まで持つ君が、世の有り様を知らぬのは何故(なぜ)なんだ?」

 何故……それを問うならば。
 そもそも、ジルベルトはなぜ急にそんな事を言い出したのか。
 こんな祭りの最中で、マリアを問い詰めるのだろう。

 ——私が帝都にあるものを見て、いちいち驚いていたからだわ。
 以前から膨らんでいたジルベルトの懐疑心が溢れ出してしまったのね。

 冷たいものが背筋を撫でる。
 マリアの胸が、何かに掴まれるようにぎゅ、と縮こまった。

 ——これは、何と言って切り抜ければ良いの…… !


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