【コミカライズ連載中】➕SS 雲隠れ王女は冷酷皇太子の腕の中〜あなたに溺愛されても困ります!
 
 答えに困ったマリアが押し黙っていると、ジルベルトが二の句を継いだ。

「ああ……いや。答えたくなければ、今すぐでなくてもいいんだ。マリアにも、きっと色々な事情があるのだろうから」

 裕福な家で育っておきながら、外の世界を知らぬというのは。
 ごく自然に考えうるのは、親の虐待などによって部屋からほとんど出してもらえずに育ったという辛辣な事情。あるいは、長年病床に伏したままだったとか。

「ジルベルト……私は……っ」
「命の恩人のマリアだ。もしも正しいと思う事実があるなら、できる限り尽力させて欲しい。これからの人生をまっとうに生きるためにね」

「お気持ちは、とても嬉しいです。ですが……きちんとお話をする心構えが、私にはまだできておりません」

 (うつむ)いたマリアを、人目もはばからずジルベルトの力強い腕が胸の中にぐい、と引き寄せた。
 甘やかな麝香の香りに包まれて、不意打ちを喰らったマリアは丸い()を見開く。

「マリア……。欲深い俺は、もっと先の未来に期待したくなる。
 マリアをもっと深く知りたいし、できる事ならこの先もそばに置いておきたい。そのためには、マリアを《《下女のままで》》いさせるわけにはいかぬのだ」

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