猛禽令嬢は王太子の溺愛を知らない

猛禽令嬢アリアナ・カレンデュラ

 アリアナ・カレンデュラは燃えるような赤い巻き毛が特徴的な18歳の少女だった。
 透き通るような青い目は鋭く、目の前の人間を見るだけで相手に威圧感を与える。

 切れ長、といえば聞こえはいいが、その目つきは少女というより猛禽類のそれに近い。
 鷹や鷲のように獲物を狙っている、と言われれば信じるほどに目つきの悪い侯爵令嬢――それが、アリアナ・カレンデュラ。王太子フリードリヒ・ヴァン・アレンドロの婚約者にして、この世界における「悪役令嬢」だった。

 
< 1 / 27 >

この作品をシェア

pagetop