猛禽令嬢は王太子の溺愛を知らない


 アリアナが前世を思い出したのは、15歳の時。すなわち、アリアナが王都にある国立の魔法学園に入学した日だった。

 空が高く、雲一つない冴え冴えとした快晴の日。ミアナという平民の少女と学園の教室で隣同士に座った時、稲妻のようにアリアナの中を走ったのは、前世で日本人として生きてきたOLの記憶。そして、若い身空で事故死した彼女が最後の日まで愛してプレイしていた乙女ゲーム「マジカル・愛ラブユー」のオープニング映像であった。

 ここがゲームの世界であること、自分が悪役令嬢「アリアナ・カレンデュラ侯爵令嬢」に転生していると気づいたときには、残念なことにアリアナはすでにこの世界のヒロインーーミリナに「平民がこの学園に入るなんて、どんな方法を使ったのかしら」なんて嫌味ともとれる言葉を口にしてしまった後だった。
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