ー野に咲く花の冒険譚ー
小刻みに指先が震える。
吐き気なのか嗚咽なのか,欠けたタルトの姿に震える。
全力で飛ばしたリリィは,誰にも届かなかった。
何も気にせず全てを皆に向けても,あるのは惨憺たる惨状だけ。
みな,息をしていなかった。
地面に伸ばし広げた手。
僕は初めて,拾う側から置く側に回った。
「は。……ぁ……はっ……ぁぁ……あ」
モブ太,モブ=ウリボウ……タルト。
僕が得た,最初で最後の仲間。
哀しい絶叫が,悲鳴が,叫喚が。
広く暗い宮中に広がる。
「ジョセ,フィーネ」
足を引きずるアイザに,気付く余地もなかった。
リリィが僕を浮かせた葉を解く。
地面に下ろされ,けれど僕がタルト達に近づくことは許さなかった。
涙は出ない。
嗄れ果てるような絶望が,音になっては倍増していく。
「そうだと思ったよ,"ジョン"。お前自身の素質にも寄ったが,充分だった。お前は他人を大事にしすぎるんだ。自覚は,あったみてェだがな」
何か,言っている。
「1人だけ必死に助けようとしてる男がいたな。恋仲か? 残念だったな」
違う。
そんなんじゃない。
「これ以上の目に遭いたくなければ,"遭わせたくなければ"死ぬまでここに座ってろ。お前が得られる"地位"は俺が貰う。お前にはこの,"お飾りの玉座"がお似合いさ」