ー野に咲く花の冒険譚ー
考えている暇はない。
今のはたまたまでしかないのだから。
気のせいだ。
僕は子供をもう一度よく観察した。
青白い顔の子供が一人。
その腕には,もう一人小さな女の子を抱いている。
両親は見当たらないのに女の子がそこにいるところを見ると,2人揃って見捨てられたらしい。
ひどい世の中だ。
それより問題なのは……
花つきの右手の親指と人差し指の間に,青い小さな蕾が開きかけていること。
もう花が咲く。
顔は青白く,今から持ってきたパンや牛乳を渡しても遅い。
花を抑え寿命を伸ばすだけの養分には足らない。
当たり前だ。
見たくなかった現実だが,もう一週間ここに放置されている花つきだ。
異常な花の生命力がなければ,常人はまず死んでいる。
助からない。