ー野に咲く花の冒険譚ー


一目で分かった。

あまりに明瞭だった。

僕は名前も分からないこの子を助けてやれない。

僕はこの子の名前を聞くことすらも叶わないはずだ。

意識なんてあるわけない。



「う,うぁぁぁああああああ」



突然花つきの方の子供が叫んだ。

絶叫だ。

やめろ,混乱するから。

どうしたらいい,僕は。

だってもうこの子は助からない。

抱かれた子供が目を覚ました。

あまりのトラウマになるような絶叫に,やつれた子供が細く泣き出す。

そうだ,あのこを助けなくてはいけない。

抱かれているから攻撃を逃れているものの,
ああも泣いていてはそのうち胸板をこずくだろう。

その小さな衝撃すら,命潰えそうな花つきの花は見逃さない。

泣いている子供の服のなかに,わずかな食料と飲めるのか分からない水のボトルを見つけた。

その瞬間,花つきの子供がたった一人でその女の子を守っていたのだと知る。
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