ー野に咲く花の冒険譚ー

死に方以外の何でもない。

人間に出来るのは,本当に最後の,たった1つの選択を選ぶことだけ。



「お前は,強い。意思も,心も。お前はずっと,僕たちを待ち続け,妹を守り抜いていた。あやめは守る。僕が連れていく。僕を,攻撃しろ」



ざり,と近づくと,花は素直に僕に向かってきた。

花はもう,咲く。

もし相討ちの討ち死にとなっても構わないと思った。

正面から僕の眼球を狙って,2つの硬い葉が尖った方を向けて突っ込んでくる。

僕は目を閉じなかった。

怖くなかったから,反射で閉じてしまうこともなかった。

僕の腹から,花が飛び出す。

花弁がいくつか舞いながら散って,香りを振り撒き。

大きく口を開けて,花つきの子供の右腕を食らった。



「すまない」



五体満足での最後は,未熟で世間知らずな僕の選択肢になかった。
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